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「抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand ) 」 ビートルズ

 抱きしめたい

 

 1963年11月29日 ビートルズは5枚目のシングル 「抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand)」をリリース。
 

 すでにビートルマニアの出現等により本国イギリスでは社会現象となっていたビートルズ、当然「抱きしめたい」も発売されるやたちまちチャートの1位に躍り出た。「ラブ・ミー・ドゥ」でデビューしてわずか一年、ここまで爆発的な人気になるとは本人たちも含めて誰ひとり思ってなかったであろう。

 

 


 「抱きしめたい」は本当の意味でレノン・マッカートニーの共作で、ふたりはアメリカのマーケットを十分視野に入れたゴスペルを意識した曲調。

レコーディングのため二週間ぶりにスタジオに帰ってきたビートルズを待っていたのは4トラックのレコーダーで、それを駆使してビートルズのレコーディングは新しい時代に突入し、革新的なサウンドを生み出していくこととなる。

 

勝負の一曲

 

 デビュー一年でイギリスではナンバーワン近隣の国でも徐々に人気に火がつき始めた一方、最大の目標であるアメリカはほぼ無視。
 イギリスのEMIはアメリカの配給元であるキャピトル・レコードに新曲を出すたびにテープを送ってはいるもののまるで相手にされず、最初の4枚のシングルとファーストアルバムはアメリカの弱小レーベルからひっそりとリリースされ不発に終わった。
過去の例を見てもイギリス人のアーティストがアメリカで成功するのはかなり難しく、いくらビートルズでもかなり高いハードルだ。。しかしビートルズはあきらめることなくチャレンジを続け、ジョンとポールがアメリカ受けを狙って作った「抱きしめたい」はまさに勝負を賭けた一曲だった。
 それにしてもレコード会社から相手にされないのというのは一年前のイギリスとよく似た状況だが、すでに熱狂的なファンがついていたにも関わらず、多くの音楽関係者がビートルズの音楽は時代遅れと切り捨てたのはなぜなのか、なかなか興味深い。

 

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キャピトルレコード

 

 アメリカのキャピトル・レコードは ’50年代半ばにイギリスEMIに買収されたためEMI系のレコードの販売を始める。EMIの傘下に入ったとはいえ、そこは広大なマーケットを持つアメリカの企業、EMIの言いなりにはならず、ビートルズ側の要望は聞き入れてもらえなかった。

 

 当時キャピトルの海外部門のA&Rはデイブ・デクスター・ジュニアが担当しており、彼が「ビートルズアメリカじゃ絶対売れない」と判断しているためキャピトルからのリリースは見送られていたのだった。とにかくアメリカじゃ売れないことには自信があったデイブが、ロンドン出張中に発売したばかりの「抱きしめたい」を偶然耳にしたことから状況が一転する。
 初めて聴いたデイブはビートルズの新曲とは信じなかったほどの衝撃を受け、「抱きしめたい」ならアメリカでもヒットすると確信し、キャピトル・レコードはようやくその重い腰を上げた。今まで相手にしてもらえなかったビートルズがついに認められたのだ。
 

 詳細はよく分からない話だが、このデイブ・デクスター・ジュニアはビートルズより一足先にアメリカで大ヒットした日本人唯一の全米No.1ソング 「SUKIYAKI(上を向いて歩こう)」のリリースにも一枚噛んでるようで、彼がいなかったら「SUKIYAKI」は生まれてなかったかもしれない。

 

ビートルズ旋風 アメリカに上陸

 

 1963年11月22日、ファースト・アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』がまだ UKチャートの首位を独走している真っ最中にセカンド・アルバム 『ウィズ・ザ・ビートルズ』はリリースされた。ただちに『プリーズ・プリーズ・ミー』にとって代わり『ウィズ・ザ・ビートルズ』がトップに立ち、アルバムチャートの1位と2位をビートルズが占独占。
それから約一ヶ月後、1963年12月26日クリスマス翌日 満を持して「抱きしめたい」がキャピタル・レコードからリリース。キャピタル・レコードは今まで袖にしてきた反動か、かなり力を入れたプロモーションが功を奏し、年が明けると一気にブレーク、空前の現象を起こす。昨年ヨーロッパで吹き荒れたビートルズ旋風が膨れ上がってアメリカに上陸をはたす。

 ビルボードのチャートを見ると1964年1月18日 45位に初登場、25日 一気に3位へ赤丸急上昇、2月1日わずか3週目で1位に登りつめ、以降7週に渡って首位の座を守った。ちなみに「抱きしめたい」に代わって1位を獲得した曲はビートルズのひとつ前のシングル「シー・ラブズ・ユー」。
 このニュースがビートルズに届いたのは1月16日からのコンサートのため滞在していたフランスだったが、パリのコンサートの次はアメリカ公演が予定されていた。ビートルズはまさに最高のタイミングでアメリカを訪れたために大歓迎で受け入れられ、滞在中はどこへ行っても大騒動を巻き起こした。その熱狂はエルビス・プレスリーのデビュー時をも凌ぐとも言われた。

 

 「抱きしめたい」はビートルズアメリカでの成功をもたらし、年間売り上げでもトップになるほどの特大ヒットなる。初期ビートルズを語る上で欠かせない一曲だ。

 またビートルズがきっかけでその他のイギリスのアーティストにも注目が集まり、アメリカでブリティッシュ・インベイジョンと呼ばれる現象が起き、イギリスのアーティストの曲が次々にヒットしていく。


The Beatles I Want To Hold Your Hand 1963