キンタメ

distractions ~ディストラクションズ 気晴らしブログ~

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「ユー・リアリー・ガット・ミー (You Really Got Me)」キンクス

「ユー・リアリー・ガット・ミー」はイギリスのロック・バンド、キンクスの3枚目のシングルとして1964年8月4日に発売された。

MTV世代にはヴァン・ヘイレンのヴァージョンが馴染み深いかもしれないが、こちらのキンクスがオリジナル。

 

 

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キンクス、デビュー

 

60年代初頭、イギリスで起きたバンド・ブームは多くの若いバンドを生み出した。彼らはアメリカの黒人音楽から多大な影響を受け、ロックンロールやリズムアンドブルースをカバーしてしのぎを削っていた。トップランナーは1962年10月にメジャーデビューしたビートルズだ。

1963年に入るとビートルズの人気は急上昇。彼らの存在は社会現象となっていた。オーディションで落としてしまいビートルズを手に入れそこなったデッカ・レコードは、痛恨の判断ミスを取り返そうと63年8月にローリング・ストーンズを世に送り出した。

ブームは一過性のものなので人気が終焉してしまう前にとにかく乗っかろうとデッカ以外のレコード会社からも新人バンドが次々登場した。1964年2月7日、キンクスはパイ・レコードからリトル・リチャードのヒット曲のカバー「のっぽのサリー(Long Tall Sally)」でデビューした。

 

 

デビューしたものの

 

パリのオランピア劇場でのビートルズのステージを観た興行主アーサー・ハウズのアドバイスにより選ばれたデビュー曲だったが、取り立てて目と新しさもなく残念ながらまったくヒットしなかった。発売日の2月7日はビートルズがニューヨークのケネディ空港に降り立った日である。

デビュー曲をカバーでコケてしまったキンクスの次のシングルは、レイのオリジナルナンバー。曲調はもろにマージー・ビートで、キンクスというよりNEMS所属のアーティストみたいだ。思い切りヒットを狙って作ったのだろうが、またも不発に終わってしまう。バンド・ブームの中でデビューしたものもう一つパッとしないキンクスだった。

 

 

後がないキンクス

 

先行のビートルズストーンズは絶好調でその差は開くいっぽう。早くもパイの上層部はキンクスのブレークはあきらめムードでもはや後がないキンクス。三枚目のシングルまでコケるとパイから契約を打ち切られるかもしれないというプレッシャーの中、レイは試行錯誤しながら曲作りを続けた。レコーディングは満足いくようなものではなく、何度も録り直しを行い最後はスタジオの費用をレイが負担してまで継続したようだった。そしてレイの執念は起死回生の一曲を生み出した。

 

 

ナンバーワンヒット

 

ついに完成した命運がかかった新曲「ユー・リアリー・ガット・ミー」が発表された。リリース直前、ビートルズと共演したステージで初披露し、観客のビートルマニアたちにも強烈なインパクトを与え反応は良かったようだ。

曲は直ちにチャート・インする念願の初ヒット、それも全英ナンバーワンまで駆け上がる特大ヒットとなった。さらにブリティッシュ・インベイジョンの後押しでアメリカでも大ヒットした。さすがにここまで売れるとはパイもキンクスも想定外だっただろう。

前2作はキンクスの個性も方向性もイマイチはっきりしなかったが、この曲でキンキー・サウンドと呼ばれるスタイルを確立して、他にはない存在のバンドとなった。

 

デイブが弾くディストーションを効かせた歪んだギター・リフが特徴的なサウンドは、傷つけたギター・アンプのスピーカーから発せられたものだった。

そしてこの激しいサウンドはその後のロックに大きな影響を与え続け、色褪せることのない永遠のロック・クラシックとして君臨している。

 

 

  
The Kinks - You Really Got Me (Official Audio)

 

 

ローリング・ストーンズの「サティスファクション」やザ・フーの「マイ・ジェネレーション」よりも1年も前にこんな曲を出しているとはレイ・デイビスは凄すぎる。「ヘビー・メタルの最も初期の1曲」とジョン・レノンが評しているビートルズの「涙の乗車券」すら8ヶ月後のリリースである。

 

 

ギターはジミー・ペイジ

 

レコーディングが難儀したための混乱か、まだ十代のデイブの演奏技術が信用されていなかったのか「ユー・リアリー・ガット・ミー」には長い間議論になった説がある。つまりあのパワフルなギターはデイブではなく、当時まだセッション・ミュージシャンだったジミー・ペイジが弾いているという話だ。レコーディングに参加したミュージシャンの証言もあって多くの人に信じられてきたようだが、現在は当事者たちに完全に否定され、正真正銘デイブの演奏と確定されている。(実際ジミー・ペイジキンクスの別の曲のレコーディングでギターをひいている。)またプロデューサーのシェル・タルミーの判断でドラムがミック・エイボリーではなくセッション・ミュージシャンが叩いている。

 

何はともあれ「ユー・リアリー・ガット・ミー」は間違いなくキンクスの傑作であり、ここからキンクスはヒット曲を連発して人気バンドの仲間入りを果たした。

 

   
the kinks- you really got me

 

 

 

キンクス+12

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Best of the Kinks 1964 71

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